平成22年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問5
ストラテジ/システム戦略情報システムの全体計画立案のためにE-Rモデルを用いて全社のデータモデルを作成する手順はどれか。
出典:平成22年度 秋期 ITストラテジスト試験 午前Ⅱ 問5
- ア管理層の業務から機能を抽出し,機能をエンティティとする。次に,機能の相互関係に基づいてリレーションシップを定義する。さらに,全社の帳票類を調査して整理し,正規化された項目に基づいて属性を定義し,全社のデータモデルとする。
- イ企業の全体像を把握するために,基本的なエンティティだけを抽出し,それらの相互間のリレーションシップを含めて,鳥瞰図を作成する。次に,エンティティを詳細化し,すべてのリレーションシップを明確にしたものを全社のデータモデルとする。
- ウ業務層の現状システムを分析し,エンティティとリレーションシップを抽出する。それぞれについて適切な属性を定め,これらを基にE-R図を作成し,それを抽象化して,全社のデータモデルを作成する。
- エ全社のデータとその処理過程を分析し,重要な処理を行っている業務を基本エンティティとする。次に,基本エンティティ相互のデータの流れをリレーションシップとしてとらえ,適切な識別名を与える。さらに,基本エンティティと関係あるデータを属性とし,全社のデータモデルを作成する。
正解:イ
解説
情報システムの全体計画立案という広い視野でE-Rモデルを用いて全社のデータモデルを作成する場合は,個々の現行業務の細部からではなく,まず企業の全体像を把握するために主要な(基本的な)エンティティだけを抽出し,それらの相互間のリレーションシップを含めた鳥瞰図(概要レベルのE-R図)を作成することから始める。次に,そのエンティティを段階的に詳細化し,すべてのリレーションシップを明確にしていくことで,全社のデータモデルを作成する。この鳥瞰図から詳細化へと進めるトップダウンの手順が,全体計画レベルでの標準的な進め方である。
選択肢ごとの解説
- ア誤り。管理層の業務から機能を抽出して機能をエンティティとし,全社の帳票類の調査から属性を定義する手順は,既存の帳票や機能構成への依存度が高く,全体像の把握を優先するE-Rモデルの標準的な作成手順ではない。
- イ正しい。企業の全体像を把握するために主要なエンティティだけを抽出して鳥瞰図を作成し,それを詳細化してすべてのリレーションシップを明確にしていく手順が,全社のデータモデルを作成する適切な手順である。
- ウ誤り。業務層の現状システムを分析してエンティティとリレーションシップを抽出し,それを抽象化するボトムアップ的な手順であり,個々の現状システムへの依存度が高く,全体計画時の手法としては適切ではない。
- エ誤り。全社のデータと処理過程を分析し,重要な処理を行っている業務を基本エンティティとする手順は,処理(データの流れ)を起点とする分析であり,まず全体を俯瞰するエンティティ中心の手順とは異なるアプローチである。